そうですね
名前から察せられるとおり、カオスなギャグ系短編エピソード集。
ですが、漂う雰囲気は一般的なギャグ作品と一線を画しています。
基本的にシリアスな見るゲの空気を演出しつつ、
狂気に満ちたネタを淡々とこなす。
そんな作風のエピソードが多いです。
狂気とシリアスの配分はエピソードによってまちまち。
全編狂ってる物もあれば、シリアスにやっておいて台無しにする物も。
ただし、演出任せのインパクト芸が行われない事は共通しています。
そんなわけで、一般的なギャグ作品はもちろんのこと、
まともな見るゲと比べても、全編通してテンションは低め。
とっても淡々とした調子で話が進んでいきます。
視覚的にも派手さはありません。
キャラクターのモーションもかなり控えめ。
RTPキャラは全員RTP顔です。
そうでないキャラも、ほとんどは表情が固定。
静かな作品です。本当に。
そんな調子で「意味不明」を押し付けられても反応に困るのでは?
そんなことは全くありません。超面白いです。
視覚的演出は地味だが、それを補って余りある文章力。
淡々としているが、確かな驚きが感じられる物語のデザイン。
視覚的に地味とは言いましたが、画面構成自体はとても上手いです。
また、シリアスパートの描写もとても上手く、引き込まれます。
特に、エピソード3は個人的にかなりクるものがありました。
というか、キャラクターへの感情移入のさせ方が
めちゃくちゃ上手いんですよ。だからこそ、読んでいて辛かった。
ただ物語のベースはギャグな上、オチも基本的にギャグなので、
感情の行き場は迷子になります。なりました。助けて。
ドコに吐き出せばいいんだよ……辛かった感情は……
ケレン味だけの破天荒な超演出・超展開に頼らず、確かな地力で、
シュールなギャグを丁寧に脳みそに塗りたくられる感じ。
凄く気持ちいいです。
一般的なギャグが激辛ラーメンなら、
こちらは珍味をふんだんに使った高級料理。
クセが強く、そして調理が丁寧で、とても美味しゅうございます。
こういう作風、ものすごく憧れるんですよねー。
先程挙げた表現の繰り返しになるのですが、
僕はケレン味だけを武器にゴリ押してしまうタイプなので。
あんなに丁寧にギャグ作れない。
いつか、こういう事が出来るようになりたいものです。
エピソードを読む順番はプレイヤーに委ねられていますが、
ぜひとも番号が若い順から読んでいってほしい。
基本的に各々の話やネタは独立しているので支障は無いのですが、
ネタの流れは1から10まで順番に観るのが一番美しくなります。
特にエピソード10は最後に読むべし。
このエピソードは例外的に総まとめ編です。
そんなわけで、意味不明劇場は最高に意味不明で、
しかし最高に面白い作品でした。
君も読もう。そして健診を受けに行こう。
君ももしかしたら、BSEかもしれない。
手遅れになる前に、対処しよう。
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ねむり草、お前と最後にもう一度だけ戦いたかった.......